【5限目】いかにも北海道な北海道弁5選[名詞](後編)
いかにも北海道な名詞をご紹介する北海道弁講座の後編です。
まだ前編をご覧になってないべさって方は、こちらからどうぞ!
では、後編スタートです。
③【サビオ】
絆創膏(ばんそうこう)のことです。
人によっては、【サビヨ】と発音する方もいます。
さぁ、いったいなんのことやら、いきなり大混乱必至ですよね。
実は、とある会社から発売されている絆創膏の一商品名なんです。北海道内で圧倒的なシェアを誇っていたため、道産子の生活に浸透し、そのまま一般名詞と化してしまいました。"接触率の高いものが優先的に選択される"、紫わさびは『サランラップ現象』とひそかに呼称しています。
また、商品としてのサビオは、北海道だけではなく、内地(※わからない方は【4限目・前編】を受講して下さいね!)でも展開されていたため、内地の一部の地域でもサビオ=絆創膏で通っているようです。
このサビオ、2002年に販売終了したのですが、その後も他社の絆創膏をもサビオと呼称し続ける、道産子たちの熱い想いが、2020年に道内限定で販売復活へと導きました。復活版はさらなる機能改良が加えられ、水に濡れても貼替え不要という防水性の高さは、雪国にはピッタリです。
使う人に愛され、その愛に応える商品、その熱い想いに春の雪解けも早まりそうです。
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サビオが方言だということに気がついていない道産子たち、かなりいると思います。道産子だって、勿論、絆創膏という一般名詞を知らないわけではないです。が、なんで同じモノに対して2つの呼び方があるんだべな、と疑問に感じるくらい、道産子の身体に『サビオ』がベッタリと貼り付いているように、思います。
④【ママさんダンプ】
ママさんが乗ってるダンプカーのこと。ではありません。
除雪作業するための道具の1つで、『スノーダンプ』が一般的な名称です。
そして、先に謝っておきます、『ママさんダンプ』は豪雪大国・新潟発祥だったようです、失礼致しました。冬に男性は出稼ぎに出てしまうため、女性でも扱いやすい除雪作業の道具として作られたのが由来です。その後、その軽量さと使い勝手の良さから雪国に広まっていったものと推察されます。一家に1台は当たり前、2台持ちのご家庭も珍しくありません。昨今は、より大型の『パパさんダンプ』も人気です。
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[紫わさび的お取扱方法]
◆基本的な使用動作は、柄の部分を両手で持ち雪を押しのけて運びます。
◆使用推奨環境は、サラサラとした雪質のときで、爽快感とともに最もその威力を遺憾なく発揮します。
◆気温が0度以上になると雪が一気に重たくなるので要注意です。滑りがよくなるようにワックスをダンプの底や内側に塗布しましょう。また、腕力に頼らず、柄の部分にお腹をあてて全身で押しましょう。加えて、ダンプの先端を下げ、適度に垂直下方向に力をリズミカルに加え、地面を削るようにして進むことを強く推奨致します。ダンプカーならぬロードローラーと化し、押し固められた雪の層を創出してしまう悲惨な事態だけは回避しましょう。
◆氷かけの硬い雪や圧雪に使用する時は要注意です。軽量化のためプラスチック製ですので、無理に雪にぶっさすと、とりあえず先端部が割れ、そして欠けます。先端部が金属で保護されているものもありますが、とりあえず負けます。また、テコの原理で持ち上げる動作を無理に繰り返すと、柄を固定する付け根部分のネジがバカになりますのでご注意下さい。ステンレス製のダンプやシャベルなどを使用しましょう。
◆(あくまでも自己責任ですが)使用用途は、除雪以外にも多岐にわたります。荷物や人、ペットを乗せて運搬することにもご活用頂けます。また、雪山の頂上からソリのように滑り降りるとかなりの大迫力でお楽しみ頂けます。複数人で一緒に乗ると笑いが止まらなくなりますのでご注意下さい。さらに、雪合戦の際の防御壁として陣地資材にも最適です。雪球のあたり方によっては良い音を奏でる可能性があります。
番外編ですが、北海道弁で除雪することを、
【雪はね】【雪投げ】と言います。
雪投げ…消して遊んでいるわけではありません。『投げる』は『捨てる』という意味の北海道弁です。これに関しては、またの記事でご紹介致します。
比較的軽くサラサラとした雪が降る北海道の内陸部では【雪はね】、水分を含んだ重たい雪が降る北海道の日本海側では【雪投げ】と呼ばれます。ちなみに、ずっしりとした雪が多い秋田県では【雪寄せ】と呼ばれるそうです。言葉と気候、そして人々の生活との結びつきが感じられる方言ですね。
⑤【冬葉(とば)】
魚の干物の1つです。【鮭冬葉(さけとば)】【𩸽冬葉(ほっけとば)】などがあります。
由来は、秋にとれた鮭を切って塩水で洗って干した、アイヌ民族の保存食で、アイヌ語『 tupa トゥパ』から転じたと言われます。冬の葉、ピッタリな表現ですよね。
『片身ずつ身おろししたものに、さらに縦に二条細く斬り抜いて干したもの』
(出典:アイヌと自然デジタル図鑑)
何かと問われ一言で表すならば、"噛めば噛むほどなんまら(※1)ヒンナ(※2)"、です。(※1『なんまら』は『なまら』を強調する口語表現で『とても』の意 ※2『ヒンナ』はアイヌ語で『美味しい』)
[紫わさび的お取扱方法]
◆商品により、味、塩気、硬さなどは異なります。小腹が空いたときに、お酒のお供に、お子様のおやつに、多用途でお召し上がり頂けます。
◆歯に自信がおありの方は、そのままかぶりつくも良し、また、炙ってから食べるのも味に奥行きがでてこれまた一興です。
◆歯に自信がおありで無い方は、からっからに乾燥して硬いタイプに遭遇した場合、しっかりとしゃぶって柔らかくしてからでも、味わうのに遅くはありません。
◆差し歯などを召されている方は、柔らかいタイプに出会っても油断は禁物です。少なからずねっぱり(※3)ますのでご注意の上お召し上がり下さい。(※3『ねっぱる』は『べたつく』『ねばつく』の意味の北海道弁です。別の記事でご紹介します。)
以上、前編・後編にわたって、いかにも北海道らしい名詞5選をご紹介しました。
また、次の講義でお会いしましょう。
ご興味があれば、他の北海道弁もこちらからどうぞ!