【6限目】北海道弁の肌感覚[形容詞]【もちょこい】【しゃっこい】【しばれる】
「雪国の人は、肌白くてキレイ」って言う方いらっしゃいますけど、雪は関係ないんでっ!むしろ「雪焼け」するんでっ!
本日は、道産子の肌事情ならぬ、肌感覚を表現する形容詞をご紹介します。
【もちょこい】くすぐったい
皆さんは、毛筆の先で背中を背骨に沿って撫でられたら、何て言いますか?
「こちょばい」「こしょばい」「こそばい」「こしょい」
色々、思うことはあるかと思いますが、
道産子は、
「やめれや、もちょこいべや」
って言います。
一方で、毛筆を持って悪い顔をしてるあなた、
「こちょばす」のはほどほどにね。
やりすぎると友達を失いますので。
ところで、皆さん、
この「もちょこい」の「こい」って一体何者なのか知ってますか?
「すばしっこい」「油っこい」「まるっこい」「しつこい」「ねちっこい」
実は、これぜーんぶ、「濃い」なんですね。
接尾語化して、性質や状態を強調する様を表現してるのです。
てことは、もともとは、
「もちょもちょもちょもちょもちょ~」
が言葉のはしりだったわけですね、きっと。
気のせいか、
「こちょこちょ」より「もちょもちょ」の方が、身をよじりたくなりませんか?
【しゃっこい】【ひゃっこい】冷たい
スキー場に行くと、泣き喚いてる、こんな子どもたちがいます。
「手がしゃっこいよぉー」
いつかの私ですね。
よく、親に手を揉んで温めてもらったものです。
瞬間的な冷たさも表現します。
「つめたっ!」に近いです。
背中に雪を入れられた時に「ひゃっこいっ!」
手に隠し持った雪を携え、背後からチャンスをうかがってるあなた、
やられてみるとわかります、人間関係まで冷やさないようにね。
【しばれる】冷え込む、凍りつく
こちら、「しゃっこい」よりも、さらに冷たさがグレードアップしている一単語でございます。
身体の芯にツーンと染み込むような、もはや「痛い」に近い寒さを表現します。
「今日の朝はしばれるね〜」
冬の朝の最頻出センテンスです、覚えておいて損はしないでしょう。
物にも使います。
自家製の漬け物を朝食に食べようと思い、物置小屋に取りに行ってひと言。
「うわっ、漬け物しばれてっけさ」
語源は諸説あります。
◇ 縛られる(しばられる)
体が縛られているような寒さ、ということですね。
寒さで血管が収縮し、血行が悪くなることで、十分な酸素や栄養が行き届かなくなり、老廃物が蓄積し、筋肉が硬くなる。動作が制限される様、まさに縛られるという表現も納得です。
◇ 柴割れる(しばわれる)
木が割れるくらいの寒さ、ということですね。
「おじいさんは柴刈りに」の「柴」、木のことです。そこのあなた、勝手におじいさんにゴルフ場のメンテナンスをやらせないで下さい、「芝刈り」じゃないんでね。
気温が低下すると、木に含まれている水分が、運動エネルギーが低下した水分子同士の水素結合によって隙間のあいた構造を作り、体積のより大きい氷になります。やがて、体積の変化に耐え切れなくなった樹幹が縦方向に割ける、「凍裂」という現象が誘因されます。ピシーっ、ピキーっ。
◇ shiver [ ʃívər ] (シィヴァ)
「寒さや怖さで身体が震える」、という意味の英単語です。シィヴァ、しヴぁ、しばぁる、しばぁれる、しばれる、的な感じでしょうか。んんーっ、ちょーーっと、無理があるんじゃあないでしょうかっ!
どれが正解かはわからなくとも、偶然か必然か、言葉と言葉に繋がりがあるというのは、なんとも神秘的ですね。
6限目はここまでです。
では、7限目でお会いしましょう!
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