【2限目】便利な北海道弁【うるかす】
本日の授業は、こちら。
【うるかす】
何を思い浮かべますか?
使用シーンを想像してみましょう。
あなたは、北海道に住む友人の家に遊びに行きました。友人の手料理に舌鼓を打ち、楽しい夕食のひとときは、あっという間に過ぎてゆきます。食後の団欒もひと通り落ち着いた頃のことです。親しき仲にも礼儀あるあなたは、食べ終わったお皿を持って立ち上がりました。すると、一緒に立ち上がった友人はこう言いました。
「あーそれ、うるかしといて」
さぁ、今まさに流し台と向き合っているあなた、どうしますか?
正解は、
【うるかす(潤かす)】 (物を)水に浸漬させる
用途は非常に限定的です。
浸漬させる対象は主に次の2つです。
①(お米を)うるかす
お米を炊く前に給水させることを指します。
お米1粒1粒の中に水が染み渡っていく様子を表現しています。
②(調理器具・食器を)うるかす
調理器具や食器についた汚れを水でふやかすことを指します。
調理器具や食器の表面と汚れとの間に水分子が入り込み、剥離していく様子を想像してください。
非常に興味深いことに、
『水に浸す』との違いは、語感に時間の奥行きがあることです。
水が入り込んで行った先の結果を【うるける】と言います。
長湯をして皮膚がふやけることを、『指がうるける』と表現します。
ところで、なして、こんなに使用シチュエーションを限定する言葉が生まれたのでしょうかね。
紫わさびの推測では、気候が関係しているのではないかと思います。
北海道は水温が低いため、現代のような温水が常備されていない環境では、お米の給水に時間がかかり、また、洗い物も一苦労です。
その苦労に対する想い入れが、この『うるかす』という言葉を生んだのではないでしょうか。
北海道弁、奥深いですね。
では、また次の授業でお会いしましょう。
こちらの北海道弁もどうぞ。
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